死神のお仕事
「一歩踏み出せばきっと世界は広がるよ。目の前に広がる世界、見てみたくない?」
「まぁ鳥籠の外に出る分、それ相応のリスクもあるけどね」そう言葉を零したセナさんは、今まで座っていたソファからスッと立ち上がった。
「良い返事、待ってるよ」
最後にもう一度ニッコリと微笑んでみせた彼は自分のものであろう端末をドアに向けると、そのままリビングを出て行ってしまった。
そんな彼を私はただただ眺めていた。背中を見送った後も、閉まったドアを眺め続ける事しか私には出来なかった。