死神のお仕事


…そういえば、以前色んな派閥があるみたいな事をサエキさんが言っていたような気がする…じゃあセナさんはその違う派閥の人って事?で、アラタさんはサエキさんと同じ派閥?


「……じゃあ、私は?」


私は一体、どの立場に居るんだろう。


「と言っても、私はサエキさんの所しか知らないんだけど」


そしてそのサエキさんの事すら、私は分からない。分からないまま、ただここに居るだけ。置いて貰っているだけ。


ここで私は、生きている…


生きるってなんだった?前を向くってなんだった?


鳥籠の中だと、セナさんは私の事を表現していた。サエキさんに守られているのは分かる。だからこれほどまでに私には知識が無い。サエキさんが教えてくれないのもきっと話しても無駄だと思われてる所と、私がこちらの世界に踏み込み過ぎないようにという配慮の部分とあるのだと思う。でも…私の前には今、何があるのだろう。

まるで目隠しをされているような気分だ。目隠しをされて指示通りに動く。色んな声の中で私は、どれを信じて良いのかも分からない。判断がつかない。だって誰の声が本物なのか、私にはさっぱり分からないのだから。

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