死神のお仕事


サエキさんには、言われたく無かった。

立場がどうとか今まで散々考えたし、言われた言葉だったけれど、サエキさんにこんな風には言われたく無かった。


「サエキさんには、私の立場が分かってるんですか?」


この間、私らしくいればそれで良いと言ってくれたサエキさん。それなのに立場が分かるかなんて言うサエキさん。

今の彼はきっとこう言う。


「俺の部下だろ。それ以外に何があるんだよ」


ほら、やっぱり。


「俺のだってあの時も言ったのに、おまえは分かってねぇの?」

「じゃあ部下の私は上司のサエキさんに隠し事しちゃいけないんですね」

「当たり前だろ。少なくとも死神の事は、」

「でも隠し事ばかりする上司にも、それは適応されるんですか?」

「…は?」


サエキさんの、動きが止まった。


「自分は何一つ教えてくれないのに、私には言わせようとするんですね」

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