死神のお仕事
ちょうど断られた時の決意を固めた所。そこでサエキさんは一度深呼吸のような溜息を挟んだ。空気が変わる。
「…悪い。頭に血が上った」
「…え?」
そこで飛び出して来たのは予想もしなかった、まさかの謝罪の言葉だった。私の耳は、サエキさんの言葉を取りこぼさないように集中する。
「良い。好きにしていい。ただ、おまえの命に関わる事は俺に責任がある。だから秘密にされると困る。そういう事が言いたかった」
そして、先程までの物言いの意図を説明してくれて、気持ちがサエキさんへと向いていく。…が、
「何も知らなくて良いんだよ。おまえはおまえで、俺は俺。知ってようが知らなかろうが、俺とおまえの関係性も変わらない。ただ、このままでおまえを管理出来ないなら、この関係は無意味だ」
「……」
何を言い出すのかと期待も込めて聞いていれば、結果、それはあんまりな言い方だった。