死神のお仕事
私はサエキさんにとって管理する対象で、その為に上司と部下という名前がつけられたのだという。始めからずっとそうだったといえば、確かにそうだ、その通り。私はサエキさんの管理対象だ。だから面倒を見てくれて、助けてくれた。
でもそれもたった今、私が急にごねたから、面倒な事になってきたから、もうこの関係は無意味だなんて言い出した。サエキさんは勝手に始めて、勝手に終わらせようとしている。
私にだって感情はある。こんなの、ちゃんと一人の存在として見て貰えていない。人ではなく、これは物扱い。俺のだ、なんて言ったサエキさんは正しく本当に私を自分の所有物くらいの感覚でいたのだ。じゃなきゃ無意味だなんて、簡単に切り捨てたりしないはず…人としての情があるのなら。
「…管理とか無意味とか…サエキさんには心が無いんですか?」
そんな事は知りたくなかった。こんな事は言われたく無かった。…それも全て、サエキさんが死神だから?
サエキさんから目を逸らした。もうこれ以上、死神であるサエキさんとは分かり合えないのかもしれないと、私の中で諦めかけたーーその時だった。
返ってきたのは、小さな笑う気配。
サエキさんは、笑った。笑っているのが、視界の外側でも分かった。
その瞬間、ドッと怒りが込み上げる。私の事を馬鹿にして鼻で笑っているのだと、怒りに任せてギュッと睨みつけたのだが、視線の先のサエキさんは予想に反していた。