死神のお仕事
生きるための選択肢
私はツイてない。
急いでる時に限って電車が遅延するし、食べたい学食はだいたい寸前で売り切れるし、夜に洗濯物を干しっぱなしで寝てしまうとほぼ100%雨が降る。もちろん、ジャンケンして良い結果が出た事なんてさらさら無い。
大事な日に限ってヒールの踵が取れるし、トイレだって大体混み合ってて列出来てるし紙無くなるし、電線の下なんて歩いたら鳥のフンが…と、まぁ言い出したらキリが無いけれど、もう正直不注意の括りでは括りきれ無い程の不幸…というか、不運が続いている。
まるで幸運を先に使い切ってしまったとでもいうような、それとも身の程以上の幸運を得た分の返済をしているかのような、それくらいツイてない。
…身の丈以上の大きな幸運。
その言葉に辿り着いた時、私には真っ先に思いつく出来事があった。
私には母が居ない。何故ならそれは、母が私を庇ってくれたから。
私がまだ小学生の頃、私の代わりに車に轢かれて、母は亡くなってしまった。