死神のお仕事
私の名前を呼ぶ声に、聞き覚えがあった。
「…アラタさん…?」
震える声でその名前を呼ぶと、玄関とこの部屋を繋ぐ扉がゆっくりと開かれる。
「こんばんは、遅くにごめんね」
現れたのは、アラタさん。本物のアラタさんだった。
「身体、そろそろ辛いだろうから。夜なら絶対会えるだろうなと思って」
申し訳無さそうに言うアラタさんは、困ったように笑っていた。その微笑みに見覚えがあって、すごく、なんか、ホッとして、
「えっ、あ、ご、ごめんね本当に!怖かったよね、ごめんね、すぐ終わらせるし、本当にごめん!」
涙が込み上げて、ポロリと地面に落ちた。
まだ死神との繋がりが断たれていなかった事が、助けに来てもらえた事が、嬉しくて、悲しかった。