死神のお仕事


以前セナさんから提案された取り引きが、ずっと頭の中に残っていた。サエキさんの事を知る為にはこれしか無いと、その時から私は分かっていたのかもしれない。

だからあの時知った彼の担当区域を心に刻みつけていた。きっとここが彼との待ち合わせ場所になるという確信があったから。


「ここが担当だって、前回言ってたので…」

「あの時の魂はちゃんと回収しといたよ。嬉しい?」

「…ありがとうございます」


彼との距離があまりにも近いのでそっと離れようとすると、思惑がバレたのか、ぐたっともたれかかってきた。背が高くて細身な体型をしているのに、ずっしりと重くて動けない。


「オレとの約束、忘れてないよね?」

「……」


怖い。ジッと見つめてくる瞳の鈍く光る色味に、私の防衛本能が警鐘を鳴らす。今すぐ逃げ出したくて、無かった事にしたくて堪らない。…でも、無かった事には、もう出来ない。


「本当に…サエキさんについて、教えてくれるんですか?」

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