死神のお仕事
死神に味覚は無い。魂で満たされる感覚の事を言っているのだろう。この間は口移し、みたいな感じだったけど、今回は抱き締める形。どうやら魂を食べるにはスキンシップが必要のようだ。
…そういえば、セナさんに食べられた後、私、サエキさんに抱き締められた。
「サエキさんの時は、温かかったのに」
「じゃあその時魂貰ったんじゃない?」
「オレは今身体あったかい」なんて、しれっとした顔でセナさんが言うのを聞いて、サエキさんの分からなかった部分のモヤがまた一つ晴れる。
そうか。あの時にサエキさんは私にくれたんだ。私が嘘をついて魂を取られたのを隠したから、またこんな事があった時にって、死なないようにって思ったんだ。隠されると困ると言っていた。管理出来ないからって。言葉をそのまま受け止めていたけれど、これは心配だって事を言っていたのだ。
もしかしたら、私の事を信じられないと、私が思うのと同じ気持ちでサエキさんも思ってくれていたのかもしれない。