死神のお仕事



ーー目を覚ますと、私をジッと見詰めるセナさんの顔……え?


「うわ‼︎」


急なドアップに慌てて飛び起きると、「やっと起きた」と、セナさんがニッコリ笑いかけてくる。
なんだ?さっきセナさんが退かないから諦めて隣で寝て、それで、それで…っ、


「まさか、ずっとそのまま⁈」

「んー、なんか可愛くて」

「か、かわっ…、もう魂はあげられませんからね!」

「分かってる。はいこれ」


袋ごと手渡されたのは、水とゼリー飲料。味覚が無いなりにサラダとかお肉とか普段は程々に食べているけど、やっぱり、一番食べやすいのはこれだった。なんで知ってるんだろう?普段からよく食べてるこれを、どうやら私にくれるらしい。

今の体調的には、昨日点滴したばかりだったのもあって、とりあえず睡眠と栄養を摂る事で体力を補えばなんとかなりそうな感じではある。なんとかなる程度でセナさんは勘弁してくれたみたいで、それが意外だった。本当に私の事を気遣ってくれているらしい。


「ありがとうございます、頂きます」


有難く受け取って食べ始める…けど、なんだろう。なんか、すっごく視線を感じる。チラリと窺うとやっぱり、バッチリ目が合った。セナさんが私の飲食をガン見である。

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