死神のお仕事

「交換した後、体調をみて連れていきますよ」

「でも何かあったら会えませんよね?先に会いたいんです」

「……」

「絶対に逃げたりしません。契約書にサインしたら、それは絶対でしょう?」

「…まぁ、そうですね。例え逃げたとしても執行されます。ですが、その場合、こちらであなたの体調管理は出来ません。ボクの手の届く範囲内で、安全性を確認しつつ、後の体調管理まで責任を持つ、という事は出来なくなりますが、それでもいいですか?」

「はい。というか逃げませんし」

「…そうですねぇ…」


キリヤさんは顎に手をやり、何やら考えている様子だった。私としては一刻も早くサエキさんに会いたい。会って魂を返す方法を相談しないといけない。何も知らないサエキさんに状況を説明しないと。会って…謝って、お礼も言わないと。私の中のサエキさんの魂が無くなる前に。

だって、サエキさんと私を繋ぐものが無くなったら、本当にサエキさんとは会えなくなる。そんな気がして仕方ない。サエキさんのものだっていう証が無くなったら、もう私はただの一人の死神。サエキさんにとって、きっとどうでも良い存在。

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