死神のお仕事
そんなものだろうか…私は自分の命の事だから誰の何か気になるけど、でもそっか。サエキさんの魂だったって知ったのもついさっきな訳だし、中にあれば変わらないのか…
「…でも」
「?」
「おまえの中にあいつの魂が入ってるの、分かってても複雑だな」
今まであれだけ淡々と全てを理解して、受け入れて、問題無いと言い切っていたのに、チラリと私を見て少し嫌そうな表情をするサエキさんに、私は何故か不安に感じていた気持ちが飛んでいってしまった。
「大丈夫です!私は私ですから!」
サエキさんの気持ちに動きがある時は私が助ける!そんな心構えがいつの間にか出来上がっていた。私が私で居る事で安心して貰えるなら、それが私に出来る事だと、サエキさんのお手伝いの仕方が分かったのだ。
私の返事にサエキさんは鼻で笑った。でもそれは皮肉を含んだものでは無く、どことなく優しさを滲ませたもので、サエキさんと通じ合った感覚に、今ならなんでも出来るような気持ちになる。
よし、じゃあお願いしようとキリヤさんの方へ向き直ると、キリヤさんは目をまん丸に見開いて、穴が開くんじゃ無いかってくらいにサエキさんを見つめていた。