死神のお仕事

今サエキさんが居るからこんなに落ち着いていられるのだろう。大丈夫だと、力が抜ける。だから、


「きっと疲れるから、もう寝てろ」


そう言って、私の目を閉じさせるサエキさんの言葉に素直に従える。…なんでだろう。すごく眠たくなってきた。目が覚めたらもう、私の中にサエキさんの魂は無いんだな…


「サエキさん」

「ん?」

「あの時魂を分けてくれてありがとうございました。私、サエキさんに出会えて良かった」

「……」

「これからもよろしくお願いします」


ーーそこまで伝えた所までしか、私の記憶が無い。つまり、ここで私は眠りについたという事。


目が覚めて一番に居たのはセナさん。そしてその奥にキリヤさん。ここは先程と同じ診察室のベッドである。


「目が覚めました?」

「…サエキさんは?」

「仕事があるので先に戻ってます。体調を確認してから、歩けるようなら送りますよ」

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