死神のお仕事

それからは主に心臓を中心に健康診断のようなものをキリヤさんにして貰った。その間のキリヤさんは私への対応がなんだかとても丁寧で、投げやりで適当な部分は一つも無かった。早く追い出したいとか、もう用済みだみたいな感情は無いらしい。仕事が増えるから戻って来なくてもいい、みたいな事を言っていたはずなのに。


「サエキさんの魂が手に入ってご機嫌なんだよ」


セナさんが不思議に思う私を察して教えてくれると、キリヤさんが「何か気になりますか?」と尋ねてくる。


「いえ…なんか、すごく丁寧に扱ってくれるなと」

「そりゃあサエキ君とボクを繋ぐ大切な君ですから、丁重に扱いますよ。定期検診に通って貰うつもりでもいますから、何か不調があったら遠慮無くすぐに言って下さいね」

「わ、分かりました」


契約の前と比べて、笑顔を向けてくれる事が増えた気がする。陰鬱な雰囲気も。ご機嫌なのは本当らしいし、本当にサエキさんの事が好きなんだなと思うとすごい…なんか、こんな人が他にも居るのかなって、死神のキャラの強さに圧倒される…と、いうか。

…私もいつか、こうなっていくのかな。

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