死神のお仕事
「ボクの魂が入っても、何も変わらないんですね」
「…そうですね。そうみたいです」
「サエキ君はそれが良いみたいですけど…気になりますね。君に少し興味が出てきました」
「あ、あはは…」
好きな人を知る為にその人の興味があるものを知りたいと思うのは分かる。でも、そんな爛々とした目で見られると身に覚えがあるというか…とりあえず、早くこの場を退散した方が良い。
「ではまた、あの、定期検診で。そろそろ大丈夫なので帰ります」
「分かりました。セナ、扉の設定を」
「はーい」
キリヤさんにお礼を告げて、診察室をセナさんと出る。廊下の沢山ある扉から一番近い扉を選ぶと、セナさんは端末を手に扉を繋げる。
「またね。今度遊び行くから」
「あはは。お手柔らかに」
繋がった扉の先は、いつもの部屋。私の家では無い、サエキさんのマンション。
私は帰って来たのだ、またここに。