死神のお仕事
きっとあの時から私の人生は変わったのだと思う。死なないで済んだ事、生き延びた事が幸運と捉えられたなら、その分のツケがまわってるとしても可笑しくない。その分の返済中なのだと言われたら納得がいく。
だからそういう事なんだって、決してツイているとはいえない人生だけど受け止めながら生きてきた。
母を犠牲にしたのは不幸だけど不運じゃない。ただの私の不注意であり、だから全ての責任は私にある。
これからもずっと人生で起こる事は、ツイてない事も含めて全て受け止める事が私の責任なんだって、全部私のせいだって受け入れるのが当然だった。
…でもやっぱり、一人ぼっちで耐えて生きるのは辛くて辛くて、何度も挫けてしまいそうになった。
良い事なんてもう無い、生きるべきじゃ無かったのだから私はここに居るべきではない、お母さんに会いたい、ごめんなさい…心は追い込まれていって、当然の責任なんて放りだそうとした事は何度もある。
だけどそんな時、いつも母が残した最後の言葉が、力強く私の背中を押してくれた。
『あかり、生きて』
事故直後、消えゆく意識の中で必死に私の手を掴む母が伝えてくれた言葉は、私が生き残る事を母が心から望んでくれたというハッキリとした証拠だった。それが心に焼きついていて、絶望感、孤独感、罪悪感に苛まれる中でも私がするべき事を明確に示してくれたのだ。