死神のお仕事


「…人間の、魂」


それが私が、これから食べていかなきゃならないもの。生きる為に私は人間の魂を食べる。


私はこれから人の命を食べて生きていく…じゃないと、私が生きられないから。

私は私が生きる為に人の命の上に立たなければならないんだーー彼のように、何食わぬ顔をして。当たり前の事のようにして、私は人の命を犠牲にしなければならない…あの日の母の命のように。


「ははっ、そんな真っ青な顔するような事じゃねぇよ、俺達が食うのは死んだ人間の魂だ。別に殺して食う訳じゃない」

「…でも、」

「でも人間は牛や豚を殺して食ってんだろ?それに比べたらどこも残酷な事はねぇよ。どっかで誰かが殺した命食ってのうのうと生きるより、目の前で死を見届けて還れなくなる前に食ってやる、その方が充分その命の為だと思うけど。違うか?」

「……」

「それにさ、さっき言ったよな?半分は仕事だって。俺達がそうする事が世の理で、世の為の事だ。おまえらが好き勝手した命のその後、尻拭いをしてやるのが俺達の仕事。どう思ってんだか知らねぇけど、それを放棄する以上の悪い事なんて一つもねぇんだよ」

「……」


死神さんの言葉は、何も分からないはずなのに何故か私の心に刺さった。避けたくても避けられなくて、真っ直ぐに受け止めるしか無かった、そんな感覚。

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