死神のお仕事
彼は、真っ直ぐに私を見て言う。
拒否する事は魂への冒涜ーーつまり私が食べる事を受け入れないのは、その魂の価値を汚す事、なのだと。
…それもそうだ、持ちつ持たれつの仲なのに、必要としてるのにそれを拒否するなんて。拒否された方からしたら自分の価値を否定されたのと同じようなものだ。その魂は食べられない、なんて他と線を引いたりして…そんなの失礼以外の何ものにもならない。
意味は、分かった。食べる事を否定する事への意味、私が抱いている感情の無意味、何が正しくて何が間違っているのか…は、分かったけれど…
…私は死神になった。
私は人間ではない。
その現実を受け入れ無い限り、正直その境地までは辿り着けないと思った。だって私は今まで魂なんてものを見た事も無いし、生まれ変わる現実だってハッキリ受け止めた事も無い。
人間の私には人間の生が全てで、死んだその先の事なんてぼんやりとそうだったらいいなぁくらいにしか考えて無かったからだ。それが普通だったし、当たり前だった。でも…今私は、人間じゃない。
その先の為に立つ死神になった。
その為に存在する、死神になった。
だから私はこれから魂を扱う物として相応しくいなければならないのだ、一人間としての感覚では無く死神として一つの死と向き合い、敬意を持って接していく。その一つの方法が、魂を食べる事。