死神のお仕事


自分の為だけじゃない…お互いの為に、私は魂を食べる。

その行いに対して、私の独り善がりになってはならないーーそういう事を今、死神さんは私に言った。私に教えた。


「…分かりました。…頑張ります」


もう、そう答えるしか無かった。だって私は死神だ。生きる為にその道を選んだ。だとしたらもうそれがこれから先へ続いていく私の道で、これを受け入れない限り私にこの先は無いという事だったから。

それに…うん、なんだろう。死神のその在り方っていうのは、私が思っていたよりずっと…なんか、ちゃんとした存在だった、というか。

受け入れるしかないって気持ちと、受け入れようっていう気持ち、その二つがしっかり私の中に芽生えた瞬間だった…と思う。


すると目の前にいる彼は、私の答えを聞くと満足そうに微笑んだ。


「まぁ今回は寝てる間にしといてやったから、本格的に食うのは今度でいいぞ」


…なんて、穏やかじゃなさげで意味深な言葉と、一緒に。


え、しといたって何?

食べない方法があるの?

でも寝てる間って…


知らないうちに身に起きたであろう謎の行いを想像すると、ゾワゾワっと嫌な鳥肌がたった。今私の身体の中に知らない何かが巡っているとしたら…でも…うん。とりあえずもう済んでいるというなら、無理に藪をつつくような事はしない方が良い…はず。

< 36 / 265 >

この作品をシェア

pagetop