死神のお仕事


じゃあ今から食べる?何て言われたらもっと怖い。まだそこは心の準備が…というか、魂がどんな物なのか見るのも怖い。ふわふわ浮かんでる火の玉みたいなイメージがあるけど、食べるなんて表現する訳だもん。きっともっと怖い感じなんじゃないかなと思うんだ…だって人の命の元な訳だし…

…でも、もう目眩が無い。ゾッとしながらも結局私はその魂を燃料にしてるんだって、確信した。今満たされてる身体がその何よりの証拠、私はもう死神なんだ。


…でも…


「…でも私は、それでも人間です」

「…ん?」

「人間です、人間として今まで通り生きます。でも…死神としても、生きていこうと思います」


それでいいですか?と、様子を窺うように死神さんに尋ねてみた。何言ってんだって、話聞いてたのかって、怒られるんじゃないか…そう思ったからだ。

でも、違った。

彼は笑みを浮かべてみせた。


「あぁ、いいんじゃねぇの?そっちのが何倍も辛いだろうけどな」


割り切ったもん勝ちなのにおまえ変わってんな。Mなの?


…今日は死神の事ともう一つ、分かった事がある。


この死神さんはきっと、失礼な人だ。



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