死神のお仕事
決意の一日
「じゃあこれ」
そう言ってヒラリと一枚の用紙を手渡してくる彼。それにまじまじと目をやり文字を辿ってみる。
「…契約書?」
「あぁ。署名しろ」
「しょ、署名ですか?」
「おまえの契約書だからな。おまえがこれに署名して、それで終わりだ」
…なんて、投げやりに言う死神さんだけど…え、説明は終わりなの?結局これ何の契約書?
思わず目を点にして彼を見つめると、いいから早くしろ的な雰囲気で睨み返されてしまった。こ、怖い。
私は慌てて渡されたペンでそこにサインをする。
『田中 あかり』
すると、急にだ。サラサラと空白だったその欄を埋めた名前がスーッと染み込んでいき、真っ白の用紙の色を真っ黒に染め上げていく。
「えっ…?」
「よし、これで完了だな。じゃあ明日からよろしく」
「よ、よろしく?…というか、これ真っ黒になっちゃってもう字も読めないですけど…」
「あぁ、大事なもんだからな。個人情報の保護ってやつ」
「個人情報って…」