死神のお仕事


「まぁ分かったんなら良いけどな。俺のとこに来られただけ有難く思えよ」

「…はい」


もう、そういう事だ。とにかく命があって責任を持って貰えるだけ良い待遇なんだって、そういう事にしておこう。なんか失礼で意地悪で上目線だけど、命には代えられない。それくらい可愛いものだ。


「…で、おまえはこれからどうする?人間としても生きるって言ってたよな?」

「あ、はい。今まで通りの生活がしたいんですけど…良いんですか?」


急に振られた話題はどうやら、先程の私の宣言の話のようだった。あの時はそういう事を考えないで言っちゃったけど…この流れからして、そんな事を許して貰えるような気がしない。よく覚えていてくれたなと、確認をして貰えただけ感謝した方が良いくらいだと思う。


「? じゃあ聞くけど、ダメだって言ったらやめられんのか?」

「そ、それは無理です、やめられません…だって大学だってあるし、友達とか親戚だって…それに……」

「なんだよ」

「…わ、私…人間なんです。もう死神なんだって、半分だとしてもそうなんだって分かってるんですけど…でもやっぱり中身は人間のままで、だからそこはどうしても捨てられない、というか…うん。捨てられないんです」

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