死神のお仕事
「…死神さん…」
「あとそれ、死神さんってやつ。それおまえ人間さんって呼んでんのと一緒だからな?」
「え?あ、えっと…そっか、そうですね。そしたらえっと…」
「サエキ」
「サエキ?」
「俺の名前」
「あ、サエキさん…えっと、私は田中 あかりです」
「あぁ。よろしくな、あかり」
「こ、こちらこそ…サエキさん」
まぁ頑張れよーーなんて言われてその日、ようやく私は長かった一日を終えた。
なんだか失礼だし意地悪だし上目線の死神さんーーサエキさんだったけど、なんだか優し…くはなさそうではあるけれど、頼りになりそうな、そんな感じがした。だから明日からの新しい生活は不安ではあるけど心配ではない、そんな私がいる。
死神の私に、人間の私。
そんな私が生きる世界。
今までの環境とガラリと変わってしまったけど、でも実際私は私。お母さんに命を救われて、それからはツイてない毎日を送ってきたただの私。
私が私として生きればきっと大丈夫。これからも精一杯真っ直に生きていこう、サエキさんの元で死神としても、人間としても…なんて、あっちとこっちの境界線に立つ私は今日、心に決めた。
決めたのだ。