死神のお仕事
「俺からのやつはすぐ出ろよ」なんて念を押してくる彼ーーサエキさんに、サエキさんだって分かってたらちゃんと出てるから!教えといてよ!というかなんでこの番号知ってるの?これもまた死神の特権なの?と色々ごたごた思いつつ、答える時には「登録したので次から大丈夫です」と、結局少しの嫌味を混ぜる事しか出来なかった。うん、仕方ない。こちらは命握られてる訳だし。
「今日は現場行くって言ったの覚えてるよな?」
「え?あ、はい」
「迎え行くからそこで待ってろ」
「え?」
「だからそこで待ってろって言ってんの」
「え?だ、なんで?」
「なんでじゃねぇよ、場所言ったらおまえ一人で来れんのか?」
「いっ、行けません!」
「だよなぁ?だから待ってろって言ってんだよ。他の人間居なくなったら行ってやるから」
「分かったな?」その言葉に電話なのも忘れてうんうんと頷くと、そこで通話はプツリと切れた。
迷いの無い切断に、頷いたのがなんとなく分かったのか、私の返事なんてはなから聞く気が無かったのか、その真意は分からない。というかむしろ見られてたりして…なんて気持ちもある。