死神のお仕事
だって分かりきったかのようなこのタイミング、というのが多すぎる。まだ周りに人が居る事もちゃんと分かってるし、まずそこで待ってろって、私がここに居るのをちゃんと分かってる人が使う言葉じゃないか。
怖い…怖すぎる。
恐ろしき死神パワー…
「何?電話大丈夫だった?」
「え?あ、うん。美緒今日は先帰ってて、私研究室寄らないといけないんだった」
「なんか時間かかりそうでさ〜」と、心配そうにする美緒を少し強引に笑顔で送り出し、それから少しして講義室にはすっかり私以外の学生が居なくなったそんな頃合い。
「行くぞ」
「ひぃ!」
いきなり掛けられた声に驚いて変な声が出た。サエキさんだ。何事も無い顔して講義室のドアからサエキさんが入ってきたのだ。
来いと目で訴えるサエキさんに従ってドアの方へと駆け寄ると、サエキさんは入って来たドアをパタリと閉めた。そして手元にある端末を弄り始めてもう一度ドアを開くとーーその先にはもう、違う風景が広がっていたという不思議。
「え…え?」
「行くぞ」
「え⁈ いや、えぇ⁈」
「なんだよ」
「なんだよって、だってこれ、え⁈ 廊下は⁈ 学校は⁈ 」