死神のお仕事
…可笑しい。一限だから朝早く起きて、それで大学の前の交差点で信号待ちしてて、それでえっと…、っ!
ハッとした。その瞬間、あの時の感覚が記憶と共に蘇ってくる。
そうだ…そうだった!私、突っ込んできた車にはねられて、そしたらそのまま頭打って、そこから意識が…
身体が受けた衝撃も痛みも覚えている。これを夢だとするならその感覚はヤケにリアルで、だけど今身体を確認してみてもそんな形跡はまるで残って無い。至って普通の健康体だ。
え、じゃあ何?どういう事?
グルグルグルグルと混乱しながらも、傍で冷静に分析し始めた私の頭。そんな頭が最悪の仮説を立てるまでには、そう時間はかから無かった。
「え、もしかして私…死んだ、の?」
「このままならそうなるな」
「え…えっ⁉︎ 」
ポツリと呟いた言葉に、何故か返ってきた返事。
急な事に心臓が飛び出そうなくらい驚いたけれど、なんだかその声には聞き覚えがある。そうだ、そういえば私は誰かの声で目を覚まして…いや、目を覚ましたっていう言い方はなんか違うかもしれないけれど、でも確かにこの声を私は聞いた。この声の問いかけでここに来たのだ。