死神のお仕事


ボロボロと涙を流しながら、何も視界に入れ無いようにただひたすら俯いていた。

嫌悪感からこみ上げる胸焼けと吐き気に、湧き上がる食欲から一杯になる口内の唾液。

鼻腔をくすぐるような濃厚なのにふわりとした香る気配が、私の思考をさらっていく。


思考が…流されていく。

人間が、小さくなっていく。


消えていく。


消えるーー消える?私は、誰?


私は、


「人間」


お母さん、生きたい。


「人間、私は人間。死神だけど、人間」


生きるには死神になるしかなかった。だから人間だけど、生きるには食べなきゃいけない。でも食べたら人間じゃない。人間は食べない。



「私は人間。人間が良い、人間でいたい、人間じゃないと、人間の私が居なくなるなんてーー」


生きなきゃお母さんの意味が無くなる。食べなきゃ私の意味も無くなる。でも食べるのは人間じゃなくて、生きるには食べるしか無くて、でも私は死神でーーしに、がみで?

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