死神のお仕事
ほら、とても美味しそう。
…こんなのが?
人間の、魂が?
脈打つ心臓が?
こんなものを、食べなきゃならないなんて…っ、
「嫌だ、嫌だ、こんなの人間じゃない、嫌だーーっ、」
「あかり」
ポン、と、名前と共に肩に置かれた手に身体が飛び跳ねた。
「あかり、大丈夫だ。…少し落ち着け」
声が聞こえる。声が、声が、でもこれは、死神の、
「もう無い。ほら、もう無いだろ?」
俯く私の視界に、何も持たない両手が現れる。地面を真っ直ぐ見つめていた私の前に、彼はその両の掌をそっと広げる。
「良い。食えないよな、そうだよな、おまえは人間だ」