死神のお仕事
え、いや、早く帰れるのは嬉しいんですけども、でもいきなり初対面の、しかも元人間とは言え本物の死神さんと二人っきりになるなんて…いくら良い人そうなアラタさんでも、少し不安なんですけど…
チラリと視線を送る私の心情は、見事にサエキさんに伝わってしまっていたらしい。彼は私をマジマジと見て、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「何?俺が居ないと不安だってか。それともアラタの事がそんなに信用出来ねぇ?」
「へ⁈ あ、いや…っ」
「まぁ大丈夫だよ、アラタなら。あぁ、でももし変な事されたらすぐ連絡してこい、つーかしてくれ。そんなアラタを俺も拝みたい」
「しませんよ…変な事なんて誓ってしません」
そう言って、困ったような、不服そうな表情をするアラタさんを指して、ニヤニヤ顏のサエキさんに「だってよ」なんて言われると…もうなんだか申し訳ない気持ちで一杯になった。誰にかって、勿論アラタさんにだ。
「…ごめんなさいアラタさん、よろしくお願いします。サエキさん、早く行って下さい」
「おい、早くって失礼な奴だな。さっきのおまえはどこ行った?」
「さっきも何も、別にサエキさんに縋ったりなんかしてませんからね。お仕事頑張って下さい」
「わぁ、可愛い気のねぇ」