死神のお仕事
「僕が魂を初めて食べたのは、もう飢えて死ぬ直前まできた時だったよ。それまで食べ無かったのはあかりちゃんみたいに食べられ無かったのもあるけど…それよりも、もうどうでも良かった事の方が強いかもしれない」
「どうでもいい、ですか?」
「そう。僕はもう、僕の役目を終えたと思ってたんだ。僕が生まれて来た意味はもう終えて、後はこのまま死ぬだけなんだって」
「え…でも…」
だったら、なんで死神になったんですか?
…言葉には、出していなかった。でも、表情にはありありとその言葉が浮かんでいたようで。
「僕は死神になる事で僕の意味を貰ったんだ、もうそれだけで十分だった。それだけが…僕の救いだったんだよ」
そう、私の表情に答えてくれたアラタさんの瞳は、やっぱり死神特有のもの。奥底まで暗いままだった。暗いままだったけれど…私には、その目に映る何かが見えたような、そんな気がした。
人間だった頃の記憶、感情、そんな物の中に一つ、強く彼の中に残る何か。今も彼を作っている何かがきっと見えた、そう思う。それで間違い無いのだと思う。
だってこんなに嬉しげで、懐かしげで、切なげな表情をする人を見た事が無い。
そんな想いを抱いて生きている人と、私は会った事が無い。