死神のお仕事


「それが、僕の為だったんだ」


そう、嬉しげで、懐かしげで、切なげな… 始めに見せた感情と少しも変わらないままの瞳を見せて微笑んだアラタさんを見て、私はなんだかとても…苦しく感じた。


なんだか…悲しかった。


それからここまで話が流れてきた理由をアラタさんは思い出したみたいで、「そういえばいつから魂を食べられようになったかって話だったよね?」と、話を戻してくれたけれど、なんだかもう、私の心の中はアラタさんへの苦しい想いで一杯だった。

「やっぱり初めは嫌だったんだけど生きなきゃならないから方法を探して、それで点滴に辿り着いたんだ」とか、「でもそのうち身体と心の繋がりが強くなって、そしたら自然と拒否反応が出なくなったんだよ」とか、色々教えてくれたのに…全ての根本にある想いを知ってしまった今、彼のそれまでを知る事も辛く感じてしまう。


想像するのが、苦しい。

生きなきゃ、と言う彼の言葉が苦しい。


アラタさんの生きるって何?と、どうしても思ってしまう。彼は自分の命を生きてないと、そう感じてしまって…それが悲しい。

そして、そんな風に思う私は何様だとも思うのだ。こんな風に人を哀れむのは良い事ではない。傲慢な態度にすら思う。


「でもあかりちゃんはまだ人間だから…きっと大変だと思うけど、出来る限りサポートするから。だからゆっくり頑張っていこうね」


そんな優しい言葉を掛けてくれるアラタさんの笑顔が、私は真っ直ぐに見られなかった。

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