死神のお仕事
「…死神でも喉が乾くんですね」
ソファに座ったサエキさんの隣に、同じ様に腰をおろす。するとミネラルウォーターの蓋を開けながら、「まぁ水しか飲まないけどな」と、サエキさんから返事が返ってきた。
「水は命の源って言うだろ?それが必要なんだから、結局死神も同じ命なんだよな」
「…神様なのに」
「な。神って何だろうな」
「なんせ元人間なんてのもいる訳だし」そう呟くサエキさんが、今どんな気持ちでそんな事を言ったのか…気になってそっとその瞳を覗いてみた。
…あぁ、やっぱり。何も無い。
「…死神になると、どうしてそんな目になるんですか?」
「…目?」
「はい。暗くて、黒くて、底が無い…なんか底無し沼みたいな」
「底無し沼。それは怖ぇな」
「はい…何も見えないのに、何も無いのに、それなのに何故かそこに引きずり込まれそうな感じがして…」
「アラタのもそうだったか?」
「…え?」
「アラタの目も、俺の目と同じだったのか?」