欠詞-カケコトバ-
「テレビで啓斗は、『欠詞によって特定の感情が消えている』、そして『その感情を強く受けるような経験をすることで、欠詞と共に感情は再び芽生える』と言った。さっきの質問攻めのような、小さく嫌悪を与えるようなことでは効果はないんだろう。」
「…じゃあ、アイツにとって『すごい嫌なこと』をすればいいの?」
「恐らく。」
「す、すごい嫌なこと、ですか…。」

それから三人でしばらく、パジャマンにとって『すごく嫌なこと』考えた。
しかし考えれば考えるほどに、これが難題であることがわかってくる。

そもそも彼からは、何かしらを「嫌だ」と思うことが抜けている。
そのため、まず「嫌いな物」というものがない。
それだけでかなり選択肢が狭められてしまう。
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