欠詞-カケコトバ-
「絶対大丈夫じゃないですよ…。」
「へーきへーき。」

その言葉通り、パジャマンは何事も無かったかのように立ち上がって見せた。
その顔は傷一つ、血液一滴もついておらず、変わらぬ笑顔を見せている。

まだ心配なのか、小鳥はさらに尋ねた。

「…痛くないんですか。」
「…お?痛く…ないな!…そうか、ついに俺はここまで強く」

なるほど。

確かに「ここ」は夢の中のようだ。
痛みを感じないだけなら、考えたくはないが麻酔なりを使えばいい。
しかし傷すら負わないとなれば、確信してもいいだろう。

しかしそうすると、彼に「嫌悪」を感じさせることがより困難となる。

「にしてもヒカりん、急に何すんだよぉ。」
「日頃の行いが悪いのよ。」
「いやいや、わざと足引っかけたでしょう!」

そう怒る(?)彼の顔は、愉快そうに、笑っていた。

一体どうすれば彼を嫌がらせることができるのだろう。
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