欠詞-カケコトバ-
いつもなら階段を降りるぐらいに朝ごはんのいい匂いがするのに、今日はしない。
片付けられたのかと、このときの方が慌てて、少し急いで階段を降りてリビングへ入った。

テーブルに朝ごはんらしいものは…なかった。朝ごはんぬき、の言葉が頭に浮かぶ。たった30分寝坊すると朝ごはん撤去されるんですか。

「…ま、まぁ、朝ごはんくらいなら自分でもでき…るのかな。」

一応、料理はお母さんからちょくちょく習ってるし、クッキング部所属…だし?

ただ実際に一から、朝ごはん、とか作ったことはない。
このあいだのお母さんの、玉子サンドウィッチとワカメ味噌汁、みたいな、変な組み合わせしか思い浮かばないし。
いつもそんな感じだからいいんだけどさ。

さて、いざ朝ごはんを作り始めよう…という前に、お母さんに謝っておこうと思った。
もし朝ごはん作ってくれてあったのなら、私よりずっと早く起きて作ってくれたんだしね。
その朝ごはんは見当たらないんだけど…一応、ね。
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