先生、甘い診察してください*おまけ短編集*
「っ……」
「えっ……夏依ちゃん?」
思い切って、彼方くんのペンを握る右手をぎゅうっと両手で握った。
ボディタッチって、こんな感じ?
「も、もうっ……」
「あ……」
「ビックリするじゃん……馬鹿」
手を振り払われて。
彼方くんは私から思い切り顔をプイッと背けてしまった。
失敗した。
というより、私に触られたの嫌だったんだ。
不快な思いさせちゃった。
「急に手握ってくるから、マジでビックリした~……ドキッとし過ぎて心臓止まるかと。しかも手、柔らかかったし、綺麗だったし……」
後悔の念にかられていた私は、彼方くんが真っ赤な顔をしながらブツブツ呟いていた事なんて知る由もなかった。