先生、甘い診察してください*おまけ短編集*
彼につられてか。
私も頬が急速に熱くなってきた。
「ほっ、本当は夏依ちゃんの事っ……」
肩を掴まれ。
顔を赤くしながら、真剣な表情で話す彼方くん。
彼にぽーっと見惚れていると……。
「彼方っ!早く店番してちょうだい!今日は忙しいんだからねっ!」
彼のお母さんがお店から出てきて、一気に現実に引き戻された。
「……店番、せんと」
「私は、帰るね」
「……また、連絡するから。今度はもっともーっと美味しいケーキ食べさせてあげるから」
「うん、ありがとう」
結局、彼がなんて言おうとしたのか、わからないまま。
ただ1つ、確かな事が。
「あんな風に言われたら……期待、しそう」
私、ほんのすこーしだけでも期待しちゃっていいのかな。