先生、甘い診察してください*おまけ短編集*
口を開けるよう促されて、大人しく口を開けた。
「うーん、1番奥だからなぁ……見えにくいかも」
少々困惑しながらも智也さんは角度を変えたりしながら、口の中を覗き込んできた。
「あやちゃん、ここ沁みたりする?」
「冷たい物が少しだけ……」
「痛みはある?」
「たまに痛む時が……」
虫歯になってるの?
一度、治療した箇所なのに……。
「明日、医院で詳しく診た方がいいね」
「えっ……」
「さ、今日はもう寝ようかぁ」
明日……お休みの日だけど……。
歯医者さんに行かないといけないのか、と思うと少し憂鬱な気持ちになって、この日の夜はなかなか眠れなかった。