先生、甘い診察してください*おまけ短編集*





口を開けるよう促されて、大人しく口を開けた。



「うーん、1番奥だからなぁ……見えにくいかも」


少々困惑しながらも智也さんは角度を変えたりしながら、口の中を覗き込んできた。





「あやちゃん、ここ沁みたりする?」

「冷たい物が少しだけ……」

「痛みはある?」

「たまに痛む時が……」


虫歯になってるの?

一度、治療した箇所なのに……。





「明日、医院で詳しく診た方がいいね」

「えっ……」

「さ、今日はもう寝ようかぁ」


明日……お休みの日だけど……。


歯医者さんに行かないといけないのか、と思うと少し憂鬱な気持ちになって、この日の夜はなかなか眠れなかった。



< 96 / 199 >

この作品をシェア

pagetop