GAP SCHOOL ! !☆
ラブレター
学校から帰る頃には、もう日はすっかり傾いていた。
あたしは無駄に広い敷地に足を踏み入れる。
あたしの家は豪邸、と言えるほどではないけど外交官の父のお陰かとても大きい。
「ただいま」
大きな家の扉を開けると、丁度兄が玄関を通り過ぎるところだった。
「おかえり、リンカ」
成績優秀、茶色の地毛は柔らかそうな雰囲気を放ち、おまけに性格も優しくてまさに世で言う王子様な兄。
兄の名前は、ナギト。
漢字だと、凪斗って書く。
あたしより二つ上の大学生。
「いつもより遅くない?1人で出歩いちゃ危ないじゃん」
ずい、っと近づいてあたしの顔を覗き込んでくる。
「なんか、部活の勧誘で呼ばれちゃって」
「こんな時期に?変だね」
あんまりイケメンフェイス近づけないで。
いくら兄でもさすがかにドキッとしてしまう。
「それよりこんな所で何してたの?」
これ以上、あの委員会について詮索されないように、話題を切り替える。
ローファーを脱いで、スリッパに履き替えると、兄は白とピンクの封筒の二つを見せてきた。
「手紙を取りに行って戻ってきたんだ。父さん達は今日も帰らないらしいし」
「へぇ。誰からなの?」
父さん達が帰らないのはいつものこと。
二人とも、仕事人間だから。