小春日和
元々男女問わず惚れてしまう性分なのは自覚していたけれど、いくらなんでもこんなに早く惚れるというのはない。
気の迷い、みたいな…
外見と漂うオーラのようなものに、私は流されているだけなのかもしれない。
そう考えても、頭の中だけ冷静で目は冬しか映していないのだからどうしようもない。
私って、惚れっぽいのかな…。
「…冬のせいだ」
「なに、いきなり」
セミロングの髪が揺れる度に見え隠れする首筋。
日の光を浴びて輝く彼女。
私は純粋に美しいと思う。
そして、描きたいと思うのだ。
(…‥描きたい?)
「春?」
欲が、私の悩みを一掃してくれた。
「冬、私、貴女を描きたい」
私が彼女に向けていたのは、絵描きとしての純粋な欲だ。