夢色、虹色、涙色
次の日、学校にリョウの姿はなかった。
顔を合わせづらいと思っていた私は、正直ほっとしていた。
だって風邪で休んだだけだと思っていたから。
寒い中外にいたから、だから、、休んだのかと。

家に帰ってそれは突然だった。



「ねぇさや、今日進藤くん学校にきてた?」

「えっ?なんで?」

「なんかねぇ、ウワサなんだけど」
母親は言いすらそうな顔をした。

「なんかね、夜逃げしたって。はっきりとはわからないんだけど」


夜逃げ、、、ウソだ。ウソに決まってる。
そんなのテレビの世界だよ?
だって昨日は家の前まで行ったもん。
何も変わらなかったよ?



「10年後、、、」



私は無意識に家を飛び出した。
母親の私を呼ぶ声が聞こえる。

走った。ただ夢中に。
涙でボヤける視界。

ウソであって欲しい。ただそれだけを祈りながら。

リョウの家の前。
昨日と何も変わらないように見えた。
人の気配はない。

本当に本当に居なくなってしまったの?
あんまりだよ。
どうにかするには幼すぎた二人。


もう会えないのは嫌だよ。
どこにいるの?
まだ、ちゃんと返事してないよ。
昨日ちゃんと話せば良かった。


リョウ
何も気づいてあげられなかった。
本当にごめんね。
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