夢色、虹色、涙色
コツコツ鳴るピンヒール、ヒラヒラ揺れるスカート。
振り返らなくても、視線を感じる。
今までも会えなかったんだ。
無事に生きていてくれただけで、それだけで本当に良かったんだ。

目的のbarに着いた。

落ち着いた店内。
暗い照明。初めてでドキドキしたけど、笑顔を見せたマスターは優しそうな空気をまとっていた。

奥のボックス席、カンパリオレンジを頼んだ。
まなが突然話し出す。

「さやの同中のホストかっこいいね」

「うーん垢抜けた気はするかな?」

「なんかあったでしょ?元カレ?」

「正確には、彼にはなってない。片思い。」

「若いって素晴らしいね~」

年寄りクサイ事を言って爆笑するまな。

「行って来なよ。今日」
突然の事でグラスを落としそうになる。

「いや、ホストはいいや」

リョウに会うのが怖い。
私だって恋愛はしてきたけど、リョウが完全に過去を捨てたらと思うと怖くて踏み出せなかった。




< 15 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop