《詩集》夢枕

安眠

『安眠』


横たわる私の耳元で
雷が鳴っている
本当は起きてるんだろって

咎めるように鳴っている

そうよ
本当は起きてるわ

最期の眠りにつく日まで
安眠なんてあり得ないもの

魚のような夢を見たんだ
目蓋の無いまま漂っている
あれはたぶん白昼夢

私はきっと大人になった

優しい手にはすがれない
子守唄だって聴こえない

演じることに慣れるのは
とても自然で素晴らしいこと
それが正しい世界でないと
私は自分を保てない

そう言わないと
眠れる訳がないんだ
もう

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