星の導き
「うわあぁぁぁ」


あたしの体は真っ逆さまに落ちて行く



実は夢でしたってことはないの?



そんなことを呑気に思っている間にも地面は迫っていた


もうだめだ


そう思って目をつぶった時


ふわっと急に体が軽くなった


「大丈夫か?」


少し低い声がして目を開けると、あたしの顔を心配そうに見つめるかっこいい男の人がいた


顔は整っていて、黒い目がとても綺麗だった


それに黒い髪の毛はさらさらしてるし


そんな人に覗き込まれてあたしは固まってしまった


「本当に大丈夫か?」


再びあの声がしてあたしはハッとする


よく状況を見てみたら、黒髪のイケメンにお姫様抱っこされてたわけで…


どうしよ。急に恥ずかしくなってきた


「顔赤いけど平気?」


「平気だよ。だからおろして」


恥ずかしくなって暴れ出すと男の人は丁寧におろしてくれた



「あのさっきはありがとうございました」


「お礼はいい」


男の人は無愛想にそうだけいって帰って行く


男の人の黒いマントに赤い悪魔の絵が書いてあった


何だろ?この村の人とは違う格好してる



この村の人じゃないのかな?


名前聞きそびれちゃったな


チュンチュンという鳥のさえずりが聞こえてくる…


「ってこれからどうすればいいのよ!」


村の向こうの山にあたしの叫びがこだます



シーンと辺りが静まり返った時、妙にさみしくなった


とにかく歩くしかないか


さみしさを払いのけるように村に向かって歩くことにした
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