堕天使に降り注ぐ光
プロローグ
朝起きても誰もいない。
パパもママも帰ってないのだ。

そんなあたしの朝ご飯は、いつ買ったかわからない食パン。
裏表を見て、カビが生えてないことを確認して、そのまま口に持っていく。

味気の無いパン。
ただ生きる為に、あたしはそれを食べる。

そしてパンをかじっていると、ツーンとした匂いが鼻をさす。
あたしの身体から、キツイ体臭が漂っているのだ。
夏の暑い日に、10日以上お風呂に入ってないからだ。
小学生のあたしはお風呂が沸かせない。
パパかママが帰ってくるまで、お風呂に入ることさえ出来ない。


「これが最後のパン」


今日も帰ってこなかったらどうしよう?
明日から何を食べよう?

でも帰ってきたら、また叩かれるのかな?
またベランダに出されるのかな?

それなら帰って来ないほうがいいかも。

痒い頭を掻きながら、自問自答を繰り返す――





これは自炊が出来るようになるまでの、あたしの毎日。

生きることで必死だった日々――

愛情なんかわからない

それはブラウン管の中だけの作り話

現実は、そんなには甘くない

愛情なんて、この世にはないんだ――



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