堕天使に降り注ぐ光
「陽菜ってさぁ、『あたしは純粋です』みたいな顔してるからムカつくんだよね。あっ!そうだ、これ書こうっと」


あたしははしゃぐ亜由美に気を取られて行動に移すのを忘れ、亜由美が何て書くのかを身体を乗り出して見ていた。

すると亜由美が握るマジックが書いた言葉は『ぶりっ子!気持ち悪いんだよ!死にやがれ!』という、普段の文字とは違う殴り書きだった。


「きゃぁ――ッ!めっちゃ楽しい!」


「マジで?あたしも早く書こう!」


あたしは亜由美につられ笑いながら言ったが、心の中は陽菜に対する憎悪でいっぱいで、決して心からの笑顔ではなかった。

憎い……
憎い……
いつも笑顔の陽菜が憎い!
苦労も知らない幸せいっぱいの顔が憎い!


あたしは英語の教科書を手に取ると、考える間も無く、スラスラとマジックを走らせた。


”死ね!死ね!死ね!”
”偽善者!”
”学校に来るな!”

あたしは亜由美達の存在を忘れる程、無我夢中で頭に浮かんでくる言葉を書き連ねた。


 
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