堕天使に降り注ぐ光
あたしは笑顔で言うと鞄を持ち、みんなの帰る用意が終わるのを待った。


「あたしも久々に楽しんだよ。だって今まで何も無くて、つまんなかったもん」


確かに言葉通り、亜由美の顔は輝いている。

まるで水を得た魚のように。

でもそれは亜由美だけじゃない。

千春や圭子も由香だって、生き生きとした顔をしている。



どうして、こんなに弱い者虐めって楽しいんだろう?

こんな酷いことをしても、全く心が痛まなかった。

痛むどころか陽菜の泣き顔を想像して、もっと泣かしたいと思った位だ。

もっと苦しめばいい。

もっと陽菜の笑顔を壊したい。



初めての虐めは、あたしに快感を覚えさせた。

陽菜が苦痛に歪ませる顔は、あたしに安心感をくれる。

あたしを癒してくれる。

虐めは麻薬と一緒。

1回したら、それから抜け出せなくなる。

あたしは自ら踏み込んだこの地獄から、永遠に抜け出すことは出来ないんだ――
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