堕天使に降り注ぐ光
「じゃあまた明日ね!」


あたしは次のバス停で降りる亜由美に向かって、軽く手を振り乗降口に進んだ。

バスはゆっくりと停まりドアが開いた瞬間、モァッとした暑苦しい熱気があたしを迎えるように車内に入り込むと、バスを降りたあたしの身体を包み込んだ。

夕方とはいえ、アスファルトは昼の暑さの余韻を残している。

ジリジリと額に浮き出てくる汗を、タオルで拭く。

暑い……怠い……。

何時もと同じ道を、何時ものように帰っているのだが、今日のあたしは違う。

そう、陽菜を苦しめることが出来るという『達成感』で満ち溢れていた。

陽菜を奈落の底に突き落とせるという『満足感』で。

陽菜のこれからは、あたしの手によって最高のものにもなるし、最悪のものにもなるという、『支配感』。

それら諸々の感情で、あたしは優越感に浸っているのだ。
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