君の声が聞きたい
横山という名字で、うちの学校には渡辺さんがいないから、出席番号はいつも1番最後。
そして、席は窓側の1番後ろだ。
この席は色々気を遣わなくていいし、先生の視界にも特別入る訳じゃないから気に入ってる。
そんな席から反対側の校舎を見れば、また今日も人影が見えた。
今日は…2人?
そのうちの1人はもう随分と見慣れた生徒だ。
名前は知らないが、いつも黒に白いラインのヘッドホンをしている男の子。
去年の入学式から知っている。
毎年、この学校の入学式には新2年生が在校生として出席する。
その時に彼を見かけた。
どの新入生も真新しい制服に身を包んで高揚した表情を見せる中、1人校則の範囲内で制服を着崩し気怠そうな表情をしていた。
頭につけるヘッドホンが妙な存在感を放ち、真っ白なラインだけが眩しかった。
それから何度か彼を見かけたけど、いつも同じように気怠そうな表情をしていた。