君の声が聞きたい

私はふと、屋上を見上げた。
もうそこには誰もいなかった。
教室を見渡せば、皆必死に授業を聞き板書をしていた。
慌ててシャーペンを持ち直し、まだ真っ白だったノートに黒板の内容を書き写す。
先生の声は相変わらず聞こえない。
所々拾える単語と口の動きから教科書のどの部分をやっているか予測する。
気の抜けない授業を1日に何時間も受けるのにかなりの体力と集中力が削がれる。
それに加えて、休み時間も友達との会話にも全神経を注がなければならない。
午前が終わるだけで私はぐったりしていた。


「疲れたぁ〜。」


4限の担当の先生が教室を出た瞬間、机に突っ伏した。
すると、ポンっと前の席からノートで頭を叩かれる。
体勢はそのままに、顔だけ上げればいつも連んでいる4人グループの1人が私を見て呆れたように笑っていた。
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